暗号通貨VS.国家 ビットコインは終わらない (SB新書)

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二〇〇九年一月三日。イギリスの新聞TIMESの一面は「大蔵大臣は銀行を二度目の救済へ」
との見出しで飾られた。

The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks.

文章を閉じるピリオドを打ったときには、密かな悪戯をした気分だったに違いない。
それはきっと、こっそりと行われた。ただしこれはただの悪戯ではない。最初のブロック
が09年1月3日以降に作成された証拠を残したのだ。これから伸び続ける記録帳の最初の
1ページだ。
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◎そもそも「通貨」とは何か?
◎ビットコイン「非国家」の思想とは?
◎分散システムはなぜ見事な秩序で動くか?
◎私たちが生きるキャッシュレスな社会とは?

『多数決を疑う』の経済学者が予見!
お金と国家をめぐる来るべき未来

ビットコインは終わらない
まだ始まったばかりだ

ビットコインをはじめとする暗号通貨(=仮想通貨)は、嫌われている。
とくに一時期のバブルが崩壊してからは、いっそう馬鹿にされるようになった気がする。
でもそういう舐めた態度はよしたほうがいい。暗号通貨は終わっていない。まだ始まった
ばかりだ。だから、もしあなたがこれまで、よく知らないまま否定していたとしても、
いま始めたらいい。今日はあなたの残りの人生の初日なのだ。

世界平和の思想!?
込められた国家への抵抗と変革への期待

たとえばだ。ビットコインは国家が発行するものではない、誰にも総量を増減できない、
ということはよく知られている。それではそこに、世界から戦争を無くそうという意志
が添えられていることはご存じだろうか。戦争には莫大なコストがかかる。 だから国家
は戦争するとき、自国の通貨を増発したり、国債を乱発したりする。しかしビットコイン
が主流となった経済では、国家が発行するお金に大した価値はない。 戦費が調達できな
いと、戦争はできない。世界平和の到来。

なにそれ、と思われるだろうか。

でも発想としては面白くないか。 世紀の終わりにカントは『永遠平和のために』
で、地上にひとつの「世界共和国」があったら戦争は無くなると論じた。それよりは
実現しやすそうなアイデアではなかろうか。まあ戦争の撲滅をビットコインの主目的
と考える人は多くはないのだが、さまざまな人々がそれぞれに自分の理想や願望を託
している。社会の変革が期待されていたり、抵抗の意志が込められていたりする。
(本文より一部抜粋)

(目次)
[1章]神(サトシ)はビットコインを創成し、やがて姿を消した
創世前夜
あれはバブルか
危険なキャッシュレス
は正体不明
通貨の本質とは何か?
徴税と暗号通貨

[2章]そもそもATMは魔法の箱なのだ
銀行預金のすごさ
国際送金とリップルXRP
P2Pの世界通貨
すべては巨人の肩の上に立つ 

[3章]ブロックチェーンの生態系には、人間も機械も黄金もある
黄金を掘りに
送金したら何が起こるか
マイニングの仕組み
バラバラな人々がどうやって同じ台帳を共有するか
負けたマイナーの立場でブロックチェーンを理解する
多数決と正しい確率
ビザンチン将軍問題

[4章]暗号通貨の社会はめちゃくちゃ人間くさい
管理者のいないコミュニティ
新コインへの分裂
ネットワーク効果 調整ゲームと協調行動

[5章]超絶的な自動販売機イーサリアム
サタンの悪戯が奏功するには
若きヴィタリクの情熱
トークンによる資金調達
非国家と社会契約
ノーベル賞学者の参入

[6章]正社員は減ってないし、会社は無くならないし電子化はそう進んでいない
電子化はそう進んでいない
「億り人」は江戸時代より重税
会社は無くならない
仕事は無くならないが